独立するまでには、3社で修業しました。元請けの塗装屋で親方の下についたり、最初は3年、次の会社で2年半、さらに2年半。それぞれの親方によって、使用する塗料も塗り方も違いますし、希釈量や温度なども変わってきます。おかげで、いろんなやり方を学ぶことができましたし、建築塗装は奥が深いですね。それは、今でもそう思います。
たとえば、材料の違い。とくに今は、材料もいろいろ増えていますから、材質によって対応する材料を選ぶ必要がありますからね。
最後の修業先となったリフォーム屋では、私が親方的な立場でやっていまして、その頃には、もう独立しても大丈夫だという確信はありました。そして平成12年に、金井塗装という屋号で独立しました。
独立後も、それまでの繋がりで仕事をいただくことができましたが、大変だったのは人材集めですね。
勤めていた時は、自分の下にも必ず人がいましたけど、今度は自分一人しかいない。職人を集めるにしても、それぞれ皆、塗り方が違いますから、私の仕上げ方に合った技術と対応できるような職人を探す必要がありました。
もともと、元請け業を目指していましたから、平成18年に有限会社カナイ建装工業を設立しました。やはり、もっと幅広くやりたいという思いが第一でした。
それまでは下請けが中心でしたが、業界的に単価も下がってきて、景気が悪くなってきたことも、元請けを考え始めたきっかけになりましたね。
下請けの時は、お客様と直接ふれあう機会が少なくて、いい職人さんというだけで終わってしまいます。
お客様とのつながりという点でも、元請けと下請けでは全然違います。元請けの場合は、見ず知らずの人からの依頼だと、1以下の0からのスタートですから。お客様の要望を直接聞けることも大きいですね。
だいぶ前に二級の資格は取っていたのですが、学科は取っていなくて、賞状は持っていませんでした。
平成16年に親方として現場に入っている頃、資格を取得することで1ランク上の身分になりたいという思いがきっかけですね。
一級塗装技能士の資格以外にも、一級塗装技能士の橋梁塗装作業の資格も取りましたし、有機溶剤作業主任者、職長特別教育、高所作業者、足場作業主任者、ガス溶接、アーク溶接の資格も持っています。
受験者は、二級も含めて50名くらいだったと思います。何名くらい受かるのかは分かりませんね。年々変わるものでしょうから。
試験は、1坪の場所に1人でした。1枚のベニヤ板の下地処理から始まって、一度白くするんです。
それに、渡された図面通りに鉛筆で枠からラインを描いて、色の調色。その3色が微妙な色でして、ちょっと白が入っていてボケてるような、割と難しい色なんです。
当時は、オイル系の塗料でしたから乾きも遅くて、調色が難しかったのですが、今は水性塗料になっているようです。
一番難しかったのはスミ出し、ライン引きでした。その他の流れは、普段やっていることと全部同じなのですが、スミ出しに関してはあまり経験がありませんでしたから。
トータルで5時間くらいだったと思いますが、作業時間が決まっていますから、色を作って、ノボリを待っている間に違う作業をしてと、作業の流れを頭の中で組み立てないといけません。
それを一人で回転させるのも大変でしたね。
学科も難しかったです。技術面や材料に関する知識はありましたが、化学物質の名前なども試験に出ますから、+アルファの知識が必要になってきます。仕事が終わってから毎晩勉強していましたよ。
やはり、ある程度の知識と技術を持っている人かどうか。仕上げ方に関しては自分流に行っても、すべての素材に関する知識を持っていて、それを適切に処理できるのが一級塗装技能士だと思います。
建築塗装においては下地処理ですね。下地処理でも、下塗り・中塗り・上塗があるのですが、その一番初めとなるベース作りです。乾燥時間も、もちろん気にしますね。
あとは普通のことですが、ラインを出したり、見切り方にもこだわりを持っています。
まず、整理整頓ができること。仕事ができる職人は、現場においても倉庫においても、自分の道具の管理がちゃんとできています。
私がよく職人に言っているのは、「ネタ場・材料置き場の乱れは心の乱れ」。
仕上げ屋は、一番最後にキレイにする人間ですから、自分の身の周りのこともキレイにできないのにキレイな仕事はできない。この点には、こだわっています。
自分の乗用車の中はえらくキレイでも、自分が毎日乗っている作業車は汚かったりすると注意しますね。
もちろん、自分の仕事の見直しをすることも大事です。
たとえば、下塗りをした後、もう一度見て回って見直しをする。見落としがあると、後でやり直しになりますからね。
私は、年齢的にはまだ若いほうで、地元では年配の方のほうが多いんですよ。
私たちの世代は、結構厳しく教育されてきましたけど、最近の若い職人さんは、あまり根性がないというか、ちょっと厳しく言われただけで逃げてしまう人が多い。世の中的に、そういう若者が増えているようですが、技術面にしても覚えるのが遅いですね。
職人にしても営業マンにしても、挨拶やマナーといった教育ができていない業者もあります。
お客様から問い合わせがあった時にしろ、いろいろなケースがありますが、
おおざっぱな対応をする業者には気を付けたほうがいいでしょうね。
プロタイムズの話を聞いた時に、良い知恵を持っている人たちが全国にいて、お互いに意見交換しながら、塗装業界をもっと向上できる組織になると思いました。それが、自分の会社を良くしていくことにもつながりますから。
やはり、保証と安心感。それと、お客様へのサービスが第一になっている内容ですね。
プロタイムズは、常にお客様視点でサービスを行っています。

今、新築で家を建てても、お子さんたちが家を出て行ってしまって、跡継ぎがいないケースが増えています。30年後の住宅業界は、どういう状況になっているのか疑問を感じます。
塗装業界においては、品質面・材料面は、さらに向上していくと思いますから、それに対して私たちの能力や知識も高めていく必要がありますね。